「やる気で幸せをつかもう。」

今回は茂木健一郎著作『感動する脳』を紹介したいと思います。

この本の特徴は、

①専門用語が少ない。

②読みやすい 

③人間の秘めた可能性について脳科学の視点から教えてくれる

等、誰にでも読みやすく、そして元気を与えてくれる

科学的根拠に基づいた啓蒙本といった感じです。


例えば「感動が脳を進化させる」という章では

「脳は使い方次第でどんどん進化するものです。

意欲を持って前向きに生きてゆけば脳の働きは良くなる。

どうせ自分はダメだと思い込めば、脳もまたダメな脳になってしまう。

生まれつきの良い悪いなんて関係がない。

考え方次第で脳も自分も変えることができるのです。

大きな感動というものは、やはり人生が変わるときに起こるものです。

つまり感動は、脳が自らを変えるきっかけとなるような何かに出会った時

ある種の反応を起こす。

そういう意味からすれば、自分はもう変わることができないと思い込んでいる人は

なかなか感動しにくいと言えるでしょう。

常に自分は変われる、あるいは変わりたいと願っている人は

感動も起こりやすいのです。」

との文章があります。

「生まれつき頭が悪いから私はできない。」とか

「生まれつき器用だから、あの人にはできるのだ。」

という考えは思い込みのようです。

つまりは本人の【やるき】【意欲】しだいで、人は何でもできる。

だから諦めずに、自信を持って生きていこう。

そう、茂木氏は精神論ではなく

科学的根拠に基づく研究結果から

今思い悩んでいる人たちへ

希望メッセージを発信してくれているのではないでしょうか?


もちろん、「やる気」だけではなく、

基礎的な学力、ある程度の知識や体験の必要性も訴えておられますが

「なーんだ。それでは今まであまり勉強や経験をしてこなかった人たちには

もうチャンスがないのか。」と勘違いしないでください。まだ続きがありますから・・。

茂木さんはその上でこうとも話をしています。

「多くの体験や知識があったとしても、意欲がなければすぐに限界が見えてしまう。

これは自分で自分の可能性を潰しているのと同じです。

逆に多少経験の蓄積がなくとも、意欲さえあれば自分の限界はどんどん広がっていく。そして可能性を広げようとする意欲が、さらに体験や知識を増やしていくことになるでしょう。」

と話をしています。

それは生まれてもっての性格とか

生まれもっての知能指数とかは

関係のないことであり

自分自身の努力で何とでも獲得のできることで

諦めずに希望を持ってくださいとの熱いメッセージが読み取れます。

この点で、この本がみんなに希望と元気を与えてくれる啓蒙書と

僕が表現した理由が納得していただけると思います。


最後に、もう一文を紹介したいと思います。

「自分でハンドルを握っているドライバーは道を良く覚えています。

それは常に道を覚えようとする脳の神経回路が働いているからです。

ところがいつも助手席に乗っている人は、ほとんど道を覚えていません。

要するに脳の回路が働いていないのです。

同じ時間、同じ道のりを体験しているのにもかかわらず

ドライバーと助手席の人とでは記憶が全く変わってくる。

これは記憶力の差などではなく、使う神経の差なのです。

そういう意味でも、人生のドライバーズ・シートに座らなければならない。

人生の助手席に座って、いつも判断を他人任せにする。

それは自分の人生ではなく他の人と同じようなものです。

失敗しても選択を誤っても、自分が主体となって意思決定をする。

そこに人生の喜びがあるのではないでしょうか。」

とても心に響く人生教訓だと思います。

ただし、身体や精神面、その他環境面等に大きな

ハンディ-を抱える老人のみなさんや障害者の人たちについては

最初は助手席や後部座席に座らせてあげなければいけない。

そして、将来、その人たちにも自分で運転ができるように手助けをする。

その役割を担う者が僕たちのような施設職員であり

学校の先生、行政の職員さん、お医者さん

そして家族のみなさんたちだと思います。

だからこそ、まずはその支援者が助手席や後部座席ではなく

自分から運転席に乗ることが必要だと思うのです。


人生は一度きり。全ての人へ与えられた無限大の(脳=心)の可能性を

一人でも多くの人が前向きに、希望を持ってチャレンジすれば

もっともっと生き生きとした世の中になり

多くの人たちが救われるような気がします。    

渡 部