福祉とはなんぞや

以前勤めていた職場の直属の上司に

よく飲み会につれていってもらっていた。


何か大きなミッションやイベントが終わるとだいたい

今晩いくよと誘われ喜んでついていっていた。

飲ミニケーションとはよくいったのもので

日頃、どういう風に支援したらよいか、思っていることや悩みをよく話しアドバイスをもらっていた。

20代だった私にとっては、なにもかもが手探りで、

その時の何気ない飲み会で話していたことが

今日の私を作っているような気がしている。


その方がいつもお酒がはいると

「わたし、福祉って言葉嫌いなんよ」と言っていた。

私は、その意味がわからなかった。

嫌いなこの業界になぜその方がいるのか。

ひとくくりで、きれいな言葉として飾られる「福祉」というイメージ。

それくらいしか思いつかない。

理由を教えてくれなかった上司。

けっきょくあれから20年近くたとうとしているのに、

いまだに答えは謎に包まれたままだ。


最近あらためて、この言葉について調べてみた。

福祉の「福」・「祉」どちらもしあわせや幸福といった意味をもつ。

このふたつの言葉がかさなって

「よりよい生きかた、よりよい暮らし」などと表現される。

でも「しあわせ」ってひとそれぞれ。

これが「福祉サービス」となるとさらに考えないといけないことがある。

福祉サービスを提供する側がしあわせに思うことばかりや

個人的な判断や社会的通念で良し悪しをきめこんだり、

だいたいの人がこれは好む、良いだろうと思って

なんでもかんでも進めようとするのではないということになる。


極論的になるが、福祉サービスとは

相手の「しあわせ」を考えてあげることなのだと思う。

その個人が思う、しあわせに近づくために、必要な援助やサービスを受ける、提供するということになる。

だから、

*相手の立場になって考えてみる

*相手の声に耳を傾け、すぐに答えを出すのではなく一緒に考える

*相手が気づくことができる、わかるきっかけを探り、つかむ。

そういった姿勢が福祉サービスにはとっても大切だ。

相手ののぞむ「しあわせ=福祉」を一緒に見つけることができれば

この仕事をしていてなによりもうれしい瞬間が訪れる。

えらそうな感じになってしまったが

私だってまだ、本当に「福祉」がなんたるのかよくわからない。

でも、私は「福祉」が嫌いではない。

みんなといっしょにいるだけで、それだけでも楽しい。しあわせだ。

川上