「この本を職員のみなさんへ配ってください。」
2週間前に山田さんからある本を何冊かまとめて渡された。
その作品名は
「発達保証ってなに?」(著:丸山啓史、河合隆平、品川文雄共作 発行;全障研部)
上記でもわかるとおり、3名の方の共同執筆であった。
その中でも僕は品川文雄氏(NPO法人発達保証研究センター理事長)の章が
一番強く印象に残った。
品川文雄氏は東京教育大学に学び、埼玉県で長らく障害児学級担任を勤める。
その当時に出逢った一人の教え子である「優君」との実践がこの作品に描かれていた。
それまでの優君は世間一般でいえば「学校の問題児」。
学級崩壊の発端を起こしかねない生徒であった。
その子が品川氏と出逢った事によりどのようにかわっていったのか?
結論からいえば、教え子である優君は救われた。将来への希望を掴む事が出来た。
本来持っていた自信に満ちあふれている優君を取り戻した。
その全てが品川氏との出逢いから導かれた。
でも、それでよしとしていいのか?僕は違和感を感じた。
もし、彼が品川氏、いや品川氏のような本物の教師に出逢えなければ
最悪、もっと彼の心は荒み問題行動はエスカレートしていたかもしれない。
(誰も僕の苦しみをわかってくれない。)
不安と恐怖が渦巻く中で彼の心の叫びが聞こえてくるようだ。
家族の人も含め、みなさんはこう思われるだろう。
「品川先生に出逢えてよかった」と。
今の教育を含めたあらゆる現場での現状に大きな大きな問題があるのではないかと思う。
品川氏でなくとも、どの教師であろうとも優君が大きな自信を得て大人の階段へと登っていけるように導かなければいけないのではないか?
教師云々ではなく、僕も含めた世の中の支援者、いやすべての大人たちが気づかないといけない。
子どもを代表とする次への後継者を育てる為にも。
品川氏の最後の言葉として実践で大切にしている7か条のうちの一つが
特に僕の心に突き刺さった。
『「子どもの声を聴く」こと。表に発せられない思いや願いを含め子ども総体から発せら
れるすべてを受けとめる事が必要である。』
それが支援者に必要なすべてであると僕は思う。
「縁」や「出逢い」の一言ですませてはいけない。
運が良かったとか軽々しくいってはいけない。
出口の見えない暗闇のトンネルでもがき苦しんでいる子どもたちはまだまだたくさん存在するし、今後もあらわれるだろう。
僕たちは品川先生にならなければいけないと思う。
強い決意を持って。
渡部