先週末に竹の子採りに出かけた。
末っ子の詩子を誘うと
「うん、行く行く。」
とふたつ返事でついてきた。
意外であった。
ねぜなら、ここ最近は僕のお誘いをことごとく断ってきたからだ。
その理由は詩子の一言ですぐにわかった。
「この山はおじいちゃんの大好きなお山でしょ。」
そう。この山は先月に他界した父の山であり、特に想い入れのある山である。
昨年も亡くなった父と二人で竹の子を堀に出かけた。
一昨年前もまたその前の年も二人一緒にこの山に入って竹の子を探した。
父は僕が器用でない人間である事を誰よりもよく理解してくれていた。
だからこそ、畑の管理は難しいと判断するやいなや
竹の子採りならばと新しい活躍の場を用意してくれたのだと思う。
竹の子はなかなか見つからなかった。
今年は生えない年の上、ちょっと早すぎたようである。
あきらめかけた丁度、その時、
「あったー。あったー。」
と詩子の大きな声が竹の子の山中に広がった。
僕にはお父さんが詩子にさりげなく教えてくれたのだとしか思えなかった。
竹の子は、最高においしかった。
家族、全員が自然と笑顔になっていた。
渡部