日曜日の深夜にドキュメントが放送されていた。
気になっていたので眠い目をこすって番組をみた。
私と同年代の2人の女性介護者が、自分たちの手で、自分たちの町に介護保険の事業所を立ち上げ、その奮闘と10年のあしどりを追ったドキュメントだった。
瀬戸内海に浮かぶ島で暮らす二人は、2002年に24時間対応の訪問介護系サービスをスタートさせたところから番組ははじまった。
高校の同級生の二人はお互いに、別々の大きな法人に勤めていたが、高齢者福祉の現場で「流れ作業」にしかなっていない介護に疑問を感じ、すぐに退職した。
それから、帰郷し一人ひとりによりそうことのできる、サービスがしたいと今の事業をはじめた。
訪問先のお年寄りはどの方も個性的で、チャーミングで、
介護される側と介護する側のおだやかな関係性がみてとれた。
時には、訪問販売のクレーム処理に立ちあったり、
介護保険でまかなえるわずかな時間、おばあちゃんがたばこを吸う至福の時に寄り添い、
退院後、あまり布団の上で座りっぱなしのおじいちゃんを、
食卓にさりげなく誘い、歩かせることにつなげたり。
ツメをきる姿でさえ、いとおしく思っていることが伝わってきた。
月日の流れとともに、
症状が悪化したり、入所施設にいくことになったり、亡くなったりする利用者をみて、彼女たちは、みとるまでの支援を構想するようになる。
10年がたとうとしていたころ、業績が認められ、補助を受ける形で
グループホームを展開する。今まで二人だった職員から10数人の職員になった。
それでも、開設当初から大事にしている各利用者の連絡ノートは、
今でも形をかえず存在し、ちょっとした記録を忙しい現場の合間にそれぞれが記入している。
若いスタッフたちは、そのノートをみて、日頃からこつこつと続けるちいさな関わりの大切さを学ぶことになる。
ドキュメント番組であり、カメラが入っているとは言え、二人を中心としたその事業所の職員は、皆がいきいきとし、入所している高齢者と寄り添っている。
自分たちにしかできないこと。信念をしっかり持ち続けているのだ。
だからこそ、あんなに笑顔でいられるのだ。
いきいきとした彼女たちに見習うことがたくさんあった。
自分はこの10年なにができたんだろう
これからの10年なにができるんだろう
悩むことは続くが、前を向いていたい。
川上