ラジオ体操

夏休みの想い出と言えば

僕がまず頭に浮かぶのは「ラジオ体操」だ。


夏休みの間は今のように週末やお盆休みもなく

毎日行かなければいけなかった。

そう子供心にはインプットされていた。

ただし、いやいや行っていたわけではない。

カードに印鑑がたまっていく様子がうれしくてうれしくて

飛び起きて通っていた。

道中で合流する友達や地域のおじいちゃん、おばあちゃんに

大きな声で

「おはようございます。」

と笑顔で挨拶をする。

大人たちも

「お、元気がいいなあ。」

「おはよう!」

「たけちゃん、もうすぐ大会だね。」

と笑顔で返してくれる。

本番の体操に行く前の地域の人たちとのふれあい。

それも一つの目的となってどんなにつかれていても

ラジオ体操会場に向かう事ができた。

あいさつの必要性もこの時に覚えたのかもしれない。


ところがである。

最近の子供たちは

朝から眠たい目をこすっては

あくびを連発している。

大人が通り過ぎてもあいさつができない。

できたとしても

蚊の鳴くような声で表情にも笑顔がない。

当初は近所のおじさんが一緒に体操をしていたのだが

その方も姿を見せなくなった。


現在の子どもたちや大人たちばかりが悪い訳ではない。

僕の長女や長男が小学生の時にはすでにこのような覇気のない体操を繰り返していた。

当時の親である僕にも大きな大きな責任がある。


僕は考えた。

どうしたら子供たちが元気よく楽しんで体操ができるようになるのか?

まずは今のラジオ体操のシステムをかえること。

夏休み中無休で取り組む事。

週に1回や2回休みを与えるから

ある日がめんどくさくなる感情にとらわれるのは当たり前の事。

叱ってもだめ。やさしく促してもだめ。

ならば自分が子供たちの中心の場所に移動して

元気よく楽しそうに体操をしようと。

実は最初はちょっぴりはずかしかった。

子供たちの反応も今ひとつだった。

でも改革は始まったばかり。

あきらめずに

体操を続けていこうと思う。

必ず魂に響いてくれる事を信じて。

                渡部