40歳と寿命

僕も早いもので40歳。

子どもの頃の40歳のイメージは、「大おじさん」だった。

40歳になった自分を客観的にとらえると

「大おじさん」とは大きくかけ離れた感じがする。

自分はまだまだ20代のままのイメージで今を生きている。

自分の中では何も変わってはいない。

ただし、「寿命」や「死」に対しての認識については

大きな大きな変化があった。


今までも自分の「寿命」や「死」に対して考えなかったわけではない。

ないどころか、自分から積極的に考えるようにしていた。

しかし、現実味が全く湧かなかった。

何か非現実的な世界の話で「寿命」や「死」に対する感情が見えてこなかった。

だから、リアルな恐怖感や不安感を感じる事もなく

不思議な感覚で知人や著名人の「死」を捉えていたように思う。


それが40歳になったことを境に何かが変わった。

それまでにも実は大切な後輩や友だちを失くしてきたはずなのに

何か現実感が湧いてこなかった。

「信じられない」という感情なのか

「信じたくない」という感情なのか

今でもよくわからないのだが

とにかく他人事のような感覚にとらわれていた。


40歳になったことで「寿命」や「死」に対する認識が変わったというよりも

今までに体験した親近者や知人との別れの積み重ねが

非現実な世界と現実な世界との境界を越えたという事なのかもしれない。

別に悲観的になっているわけではない。

反対に「寿命」や「死」に対して向き合えるようになった事で

自分の今後の人生に大きなパワーをあたえてくれるような気がしている。


自分は本当にやり残したことがないのか?

今日の今まで

「自分は本当にやりたい事をやり遂げた。

だからいつ寿命がきても後悔はしない。」

と思っていた自分がとても小さく見えてきた。

そんな簡単なものではない。

もっともっと人の人生には大きな大きな役割があたえられているはず。

もっともっと大きな責任がついてまわるはずである。

同時にそれを成し遂げた時の喜びは

何にも代えがたいほどの感動を与えてくれる。

同時に人生の答えを導き出してくれる。


難解な問題だからこそ、人生はおもしろいのかもしれない。

楽しもう。人生を。

自分と、そしてそれを支えてくれている家族や同志のためにも・・・。

                                渡 部