我慢は毒!
今月の11月24日に「UTADA HIKARU SINGLE COLLECTION VOL.2」が発売された。
給料日に購入しにいこうとおもっていた。
幼少の頃、わたしは欲しいものが手に入らないとわめきちらかし、ずいぶん親やまわりの人に迷惑をかけてきた。
小学校4年生のころ、ウエストポッシェットが学校で流行りました。(腰につける小さなバッグ)
これに夢中になったわたしは、親にだだをこね「買って!!」と催促しました。
これまでわたしの物欲に根負けしていた親は、今回は石のようにわたしの欲求にどうじませんでした。
欲求がとおらないとわたしは目の前が真っ暗になりお腹の奥のほうからよくわからないエネルギーがわいてきます。
父にかみつき、母の髪の毛を引っ張ったところで、父の右ストレートがとんできました。
「買わんもんは買わん! 我慢しろ!!なんでもかんでもかうことはできん!!!」と激怒されたのを今でも鮮明におぼえています。
その日は泣き疲れて眠りました。
次の日も腹の虫がおさまらず、しかもなぐられたことを思い出し「絶対かってやるウエストポシェット!」とさらに欲求がたかまりま
した。
冷蔵庫の上の場所にお金があるのを知っていたわたしは、テーブルを踏み台にしてお金を盗みました。
「やった!これで買える!」と思った瞬間、玄関の扉が開き母が帰ってきました。
わたしはびっくりしてテーブルからおちてしまいました。
握っていた何枚かの千円札を母がみてビンタが数発とんできました。
母は泣いていました。わたしも泣いていました。
わたしは「なんで買ってくれへんの!」と思い泣いていました。
母はものすごくわたしのことを心配して、「この子がこのままやったらあかん」とおもい泣いていたんやとおもいます。
あの頃の私はさっぱり母が泣く意味がわかりませんでした。
こんなハチャメチャな少年時代をおくってきました。
そこで、今回はUTADA HIKARUのCDを購入するのを我慢しようと思いました。「我慢する能力が身についているはずだ」
しかし我慢すればするほど頭の中はCDのことでいっぱいになります。
さらに目の奥のほうが痛くなり、腹の奥の方がムズムズしてきました。
鏡で自分の顔を見てみると悪魔が乗り移ったかのようなヤバイ顔になっていました。
今、誰かにしゃべりかけられたらいい対応はできない。我慢は命を削り人をきずつけてしまうとおもいました。
しかし世の中我慢しなければならないことがたくさんある。「我慢だ我慢。」と自分にいいきかせ、他のことを考えたり掃除してみた
りしました。
場面転換すればするほどCDの思いはより強くなる。
こんな気持ちのまま生きるぐらいなら死んだほうがましだと、マジで(本当に)おもいました。
「甘えんな橋本」と声がきこえてきそうですが、ほんとうに苦しいのです。
そして我慢できずCDショップに向かいました。
CDを購入し、ふるえる手でビニールを破り新曲の「Goodbye Happiness」を聞きました。
目の前の景色が変わりました。ダイヤモンドのようにキラキラ光る雨はわたしの痛みをあらいながしてくれました。
ワイパーは二人揃って微笑んでくれているように映ります。
「私は生きている」とその瞬間おもいました。みんなが今のわたしのような気持ちなら世界の様々な場所で行われている戦争はなくな
るだろう。
橋本