あいがも脱走

我が家は山間部にあります。

読んで字のとおり、山と山との間にあり、今はどこを見わたしても雪だらけ。

朝は、「コケコッコー」とまだ暗いうちから、にわとり(チャボ)と烏骨鶏の合唱がはじまります。

まるで「日本昔話」にでてくるような光景です。

そんなのどかすぎるある朝、父母がなんだか外で叫んでいました。よ~く聞いてみると、

「あらー、山に行ったわ、おりてくるまでまっちょうかあ」と言っています。

山に行った? ああ、またイノシシかとはじめはおもいました。(イノシシもよく出ます)

しばらくすると、

「おりてきたわ、はやはや」と言っています。

イノシシにまさか2人が戦いを挑むとはおもえないし、なんだろう?

そして、

「ああ、いかったいかった、自分から小屋にはいってごしたわ」と帰ってきました。

小屋? まあ、とりあえず何が起きたのか聞いてみると、

「かもが1羽出てしまって、山に行ったけど帰ってきたわ」とのこと。

なんだあ、かもかあ。

そうです。うちには『あいがも』もいます。鳥を飼うのは父の趣味です。

にわとりと烏骨鶏は卵を産んでくれるのでたすかっています。

あいがもはというと、田んぼもないので活躍の場がなさそうですが、冬になると大活躍。

1羽、2羽と父の手で、天国に召され、たくさんの野菜とともに『あいがも汁』となり、

父母の友達がやってきては

「まいのー、やっぱりそばにかけるのが一番だわ」とほめてもらっています。

私は食べませんけど・・・。

ほんとに日本昔話のような家です。

あっ、それと、かもがどこから脱走したかはいまだにわからないそうです。

わたしはきっと、「今度は自分の番かもしれない」と思い逃げたのだとおもいます。

                       父の趣味に興味がない岩田でした。