なにが、エコだ!

県立美術館でバスをまっていると、

ロータリーに大型の観光バスがとまっていました。

フタをあけて風とおしをよくした荷物いれに、

運転手さんがすわりこんですずんでおられます。

いりぐちでゾウリをぬぎ、

ゴザをひろげて新聞をよむ。

すごくくつろいだ様子です。

もちろんエンジンをきって、

というのがとてもかっこよくうつりました。

まわりのバスの運転手さんは

くるまのなかでエアコンをかけてすずんでいます。

対照的に、すごくかっこわるかった。


エコだなんだいいながら、

あついときやさむいとき、

バスやトラックは(もちろんほかの車も)

当然のようにエンジンをかけたままにして

エアコンをきかせています。

たとえば運動公園でなにかの大会があると、

遠征バスが何台もならんでいて、

なかにいるのは運転手ひとり、

というのをよくみかけます。

お客の快適さを理由に

エンジンをつけっぱなしにするバスを

ふつうのこととしてみていると、

あたりまえのように

荷物いれにすわりこんですずむ運転手さんは

ぜんぜん別格で、達人のようにうつります。

みかけはさえなくても、

やってることがうつくしければ

全体としてかっこよくみえることがよくわかりました。


えらそうなことをいいながら、

わたしもまた夏のあつさにたえきれず、

エンジンをつけたままお弁当をたべたことがあります。

はしっている車でたべれば

すこしは胸がいたまないけれど、

あぶないし、どのみちエンジンがまわっていることに

かわりはない、と理屈をこねて正当化しました。

あつさやさむさをこらえて車にいるのは

たしかに簡単なことではありません。


でも、ほんとに大切なのは

エコカー減税やLED照明などよりも、

とまっている車のエンジンはきる、

というもっと単純なことではないかとおもいます。

なんだか今回は橋本さんふうの文になってしまいました。

(吉田 淳)