玉ねぎはいいやつだ

椎名誠の『玉ねぎフライパン作戦』をかう。

1500円(税別)なのでちょっとかんがえた。

椎名誠の本はおもしろいことはおもしろいけど、

図書館でかりればじゅうぶん、という内容のものがおおい。

そんなものに1500円はいかがなものか、というためらいだ。

ケチでビンボーなわたしの背中をおしたのは

「玉ねぎはいいやつだ。フライパンもやるときはやる。」

という帯のコピーだった。

これだけで1500円の価値はあるとおもわせる

絶妙なことばづかいにしびれた。


タイトルがしめすとおり、この本は酒とたべものについてかかれたエッセイで、

たべものといっても「もやしいため」とか「キムチトーフ」とか、

すごくかんたんで、ほとんど料理ともいえないものがたくさんでてくる(ほとんど全部そう)。

椎名誠は野外キャンプの経験が豊富なわりには自分でつくれる料理はすくないそうで、

だからこそへんなグルメ本にはならず、

料理のたのしさ・おいしさがストレートでつたわってくる本にしあがっている。


よんだあと「カレーうどん」と「コロッケ煮」をさっそくつくったってみた

(すぐにつくりたくなるところは「料理本」として成功しているとおもう)。

カレーうどんはまだしもコロッケ煮はひどいできとなる。

コロッケがうりきれだったので、ミンチカツにしたのがまちがいだったようだ。

ダシをすい、ぐじゃぐじゃになったミンチカツ煮を

ごはんにのっけて「ミンチカツ丼」にしてたべたら、

なかなかハシがすすまないくらいしみじみとおいしくなかった。

(お泊まりのとき、利用者の方につきあってたべてもらったので

ほんとうにもうしわけなかった)


おもしろかったのは肉ジャガをつくるはなしで、

「肉ジャガ」というくらいだから、と

まずジャガイモ4個、にんじん1個(ママ)を鍋にいれる。

1人分としてはいやに量がおおいのに気づき、鍋をひとまわりおおきくする。

グツグツいったところでタマネギ3個とイトコンを投入すると、

驚くほど量がふえたので

「おれはバカかもしれない・・・」とおもいつつ

もうひとまわり大きな鍋にかえた、というところ。

わたしもよくこんなかんじで料理するので

このアホさかげんがよくわかる。

結局5~6人前の肉ジャガとなったけど、

できあがりとしては「肉ジャガ作戦成功!」

だったそうだ。


こんなかんじでどーでもいいはなしが100話ほど延々とつづく。

シーナ・マコトワールドにどっぷりひたれるたのしい読書となった。

(吉田 淳)