10万円づつだしあって

椎名誠の文庫本をよんでいたら、仕事やあそびでつきあっていた友人たちがどんどん会社をおこしている、ということがかいてあった。椎名誠自身、会社づとめをしながら友人たちと「本の雑誌社」をたちあげている。現実的でこまかな問題点はおいといて、とにかくすきなことに手をだして会社にしていく、というのはすごくたのしそうだ。


でも、そういえば「こだま」もそうした会社のひとつといえるのかもしれない。NPOだとか非営利活動法人とかいうともっともらしいけど、ことのおこりは仲間どおしで10万円づつだしあい法人をたちあげたことからはじまっている。資本金はこのたった40万円(資本金40万円、と正直にかきこんだせいか、ガソリンスタンドの法人カードがなんかい申請してもつくれなかった)。「こだま」が会社だなんていうとなんだかへたな冗談みたいで不思議な気がする。


もういちど10万円づつだしあってなにかテキトーな会社をはじめるとしたらなにができるだろう。パソコンと携帯電話だけおいてあるちいさな事務所をかりてそこに毎日出社する。当然さいしょは仕事なんてないので本屋さんをのぞいたり散歩をしたりというのどかな風景だ。会社というよりかくれがみたいなかんじ。中身はわからないけどイメージはある。こだまを退職したあとには、こういう会社をおこして人生のさいごをたのしみたい。

(吉田)