夏の思い出

夏の思い出

あるテレビ番組で、障がい者が集まってキャンプをしようという企画をしていた。

特に印象深かったのは、視覚障害のある人が、雑草や砂利のある山道を歩き「こういう所を歩くのもキャンプって感じがしていい」と言っていた事だった。

へえ!そんな感じ方もあるんだ!

と驚いたものである。

よく考えれば当たり前の事なのだが、

「支援する」となると、そういう大事な事を忘れてしまう。

よかれと思って本人にとって安全な道を示したところ、手を振り払われ、望む事とは違う事をしていたんだと反省する。

支援方法を学ぶとき、砂利道を誘導しましょうとは教わらないと思う。

でも、そんな体験も時には必要で、

それが経験となって心の豊かさに繋がっていくのだと思う。

こんな事を書いていたら、手を振り払った彼女と行った海で、ズボンも靴も波にさらわれて「キャー♡」と騒いだ日の事を思い出した。 曳野碧