希望と感謝

“世の中で、最も残酷な事とは何だろうか?

それは、大きな痛みや苦しみを抱えた人間に対して、誰も振り返らず誰も助けないことだと思う。

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助けて下さいと言える人と助けて下さいと言えない人、助けたくなるような見た目の人とそうでない人、抱えている痛みは同じでも、後者の痛みは放置される。これが、最大の残酷だと僕は思う。”

      (「最貧困女子」 鈴木大介著 幻冬舎新書 より 抜粋)

とある図書館での一時、ある新刊が僕の目に止まります。

あとがきの文頭からはじまる鈴木氏の想いに衝撃を受けた僕は、すぐにこの作品を手にして夢中になって貪り読みはじめました。

ある程度の事は予測していましたが、これまでにも酷い悲惨な貧困に喘いでいる女性が、この経済大国日本で存在している事実に驚くと共に、あまりにも衝撃が大きく、しばらくは、大きな虚無感に陥りました。


『最貧困女子』に該当する女性にはある共通項が存在します。

それは三つの無縁。

一つ目が家族の無縁。虐待や死別、離散により家族との絆や関係性を断たれる事。

二つ目が制度の無縁。公的・民的の支援を何かしらの事情で受けられない事。見過ごされる事。

三つ目が地域の無縁。苦しい時に頼れる友人、恩師、知人がいない事。

この状況に置かれた場合の自分自身を想像してみて下さい。


僕は自分の人生を他人の人生と比較する事ほど、無意味で浅はかな考えはないと否定的に思ってきた人間です。しかし、この作品を読んでみて、知らぬ間に欲求のハードルが上がり続けている自分に対して、この最貧困に喘いでいる人々の生活や現状から気付くべき大切な教えがたくさん存在する事を知りました。


僕は本当に恵まれた環境で日々、幸せな暮らしをしています。


いつの日か、最貧困で苦しんでいる人たちに希望を与えられるような存在になりたいと思います。

まずは、周りの人々に感謝の気持ちを伝え続けることから始めていきます。

                                               渡部でした。

                                               次は田崎さんです。