東田直樹さんの言葉にふれて
「東田直樹」
日本の詩人・絵本作家。そして自閉症者です。コミュニケーションは非常に難しく、言葉での会話はできません。それにもかかわらず、彼は自閉症を代表して、パソコンや文字盤を通して自分の意志を外部に伝える事に成功しました。自閉症者が何をどう受け止め、何をどう考えているかをです。この世界中にいる世の中の価値観の渦に巻き込まれて藻掻き苦しんでいる多くの自閉症者を救うべく、彼は語り続けたのです。
その作品の中の一文を紹介します。
『混沌』
ー僕が小さかった頃、世界のすべてが混沌としていました。
泣いていたばかりいたようにも思えるし、笑ってばかりいたようにも思えます。
周りにあるものは、永遠に広がる宇宙のようでした。
僕は、自分が何者であるのかわかりませんでした。
感覚のまま、ただ自由でいたいのに、いつも誰かに引き戻され叱られる毎日。こんなに世界は広いのに、まるで、かごに閉じ込まれた鳥みたいでした。僕はピーピー鳴きました。羽をバタバタ動かしました。力いっぱい動かしました。僕は鳥でいたいのに、それではだめだとみんなが言います。僕の居場所はありませんでした。
誰もが僕とは違う。人として会話し、決められた行動が出来るみんなは、僕にとって宇宙人でした。
僕は、この世界でひとりぼっちでした。
そんな思いを、もう誰にもしてほしくはないのです。ー
この言葉と出逢ってからというもの、僕の何かが壊れて、そして新たな気持ちが芽生えたような、そんな気がします。だからこそ、何度も何度も読み返しました。まだまだ、僕はこの世界の中で自分が役立てるように存在でいたいがため、その自信と許可証を求めて、東田直樹氏のメッセージを読み返しました。何度も何度もです。
でも、まだまだ、僕には彼の本当の心の叫びを受け止められているのか確信が持てないでいます。でも、僕はあきらめません。彼やその友の仲間の一員になれるように、これからも自分磨きを続けて行こうと思います。
渡部でした。
次は田崎さんです