「自己主張」

最近、利用者さんから職員に向けた「これはしたくない」、「これがしたい」などの、

ご自分の思いの主張や表現をされる場面が増えてきたように思う。

それは、情動の表現を含めた自己主張が他者(職員)へ向けたアプローチへと変化して

きているように感じられ、それらの「これはしたくない」という自己主張に比例するように、

「これがしたい」という主張や表現も増えてきているように思う。


例えば、コーヒーを飲むために自らも行動しながら、困難な部分は職員の手を導いては一日に何度か

コーヒーを作って飲んだり、歯磨きをしたい時は、歯ブラシや歯磨き用のコップ、または、歯磨き中に

飲む水が入っているペットボトルを持ってきて職員の手を導くなど、自分の意思(欲求)を伝えるその人

なりのさまざまな表現が生まれ、実際の生活の中に「その人らしさ」(主体性)となって表れてきている。


「これはしたくない」などの「NO!」の自己主張に出会う時、私はその人自身の内面に触れたようでその人を

ぐっと近くに感じる。それは、「NO!」がその人の中に生まれ、表出される過程に言葉になる前の思いや情動が

たくさんつまっているように感じられるからだ。

「NO!」がその人の中に生まれ、表現でき、それを受けとめられるという一連の相互の交流から両者の関係性は

深まりや広がりをもち、こころ(自己)は育まれていくように思う。


「NO!」が自然に自由に主張でき、それを丁寧に受けとめられる環境を大切にしていくことで、

利用者さんは「自分らしさ」を育み、生活の場は、「その人らしい」、「その人のための」

居心地の良い「場」となっていくのではないだろうか。


山本


明日は下大迫さんです。よろしくおねがいします。