オシム語録

W杯のためにスカパーに加入した。

さっそくW杯専用チャンネルをみる。

オシムさんがしばしば画面にでてきて、

例によってわかったようなわからないはなしを展開する。


チャンピオンズリーグ決勝の

インテルバイエルンについて

インタビューをうけていたときのこと。


「勝敗をわけたのは?」

 ゴールだ。

 それがサッカーのルールだ。


おなじみのオシム節であり、ただのジョークだ。

だいじな本音はそのあとにこぼれる。

日本代表についてたずねられると、


「日本についてはこれまですでにかたりすぎてきた。

日本にのこされた余地はない。

おおくを期待すると失望する」


というのだから、

あまりたのしくなるコメントではない。

もうしっかりした準備をするチャンスはうしなわれた、

ということなのだろうか。

前回のW杯で予選リーグ敗退となったときにも、

この「おおくを期待すると失望する」の発言があった。

あまり期待しないで応援するというのもむつかしいことだ。

なかなかそんなふうに冷静にはなれない。


オシムさんの発言は、オシム語録としてよくしられている。

含蓄にみちたものがおおく、

メディアとしてはありがたいものだったのだろう。

ただし、なかには意味のわからない発言もある。

はやく会見をおえたいときや、

大事なことをいいたくないときには

たくさんしゃべっていても、

じっさいにはなにもかたっていないことがある。

牛のたとえばなしのときがそうだった。


「そこに牛がいる。

ミルクが100ℓ必要だ。

そこで乳しぼりをすればいいのに、

牛にボールをぶつけてしまう」

全然たとえになっていないのに

もっともらしいのがすごくおかしい。


いよいよきょうからW杯がはじまる。

Eグループでの3試合がどんな結果で、

どんな内容になるのか。

そしてこの4年間がどう総括されるのか。

この土壇場になって、

岡田監督にはまだまよいがあるようだ。

いまごろになってW杯仕様に戦術を修正するなんて、

いったいこれまでの準備期間はなんだったのだ、とおもう。

でももうこの監督でたたかうしかないのだ。

まけてもいいから、ちからをだしきった試合になることを期待している。

期待するから失望しそうだけど。

(吉田 淳)