進歩のない健史へ
先週の土曜日、巴菜と哲平の通う大東小学校で、春の運動会が開催されました。
その為の準備として早朝よりテント張にいってきた私でしたが、またもや事件を起
こしてしまいました。
各自治体からテントを貸し出しする為、その年の代議員が中心となって準備を
しなければなりません。その代議員が今年は私であり、事前に軽トラの手配や
PTA会員への連絡を終えて、
「よし、これで準備万端だ。」
と安心していました。
ところがです。神様、仏様は私にはそっぽを向けられているのでしょうか?事件
は当日に起きたのです。
4人のお父ちゃんが公民館に集結。僕の一方的な都合で集合時間は朝の6:30。
それでも3人のお父ちゃんは嫌な顔ひとつもを見せずに
「おはようございます。」
と元気に挨拶を交わしてくれました。
「みなさん、朝早くからすいません。本当に助かります。早くやってしまってゆっくり
と朝ごはんを食べましょう。30分もかかりませんので・・・。」
と素敵なあいさつと共に作業スタートです。とはいうものの、心配性の私は、30分前
に来て先にテント一式を軽トラに積んでしまいました。この余計な行動が悪夢の第一歩
になろうとは思いもせずに・・・・。
「いや~すいませんね。渡部さん。」
「いいえ、いいえ、心配性なもんでね。早く済ませたいし。勝手にやったことですから。
エヘヘヘヘヘ。」
というような会話を交わしながら軽トラは公民館をあとにしました。
校庭に到着してびっくり。我が自治会が一番のりではないですか。勝手な思い込み
かもしれませんが、
「すばらしい段取りだな。」
と一人にやける渡部でした。
しかし、骨組みを組み立てるうちにあやしい雰囲気が漂ってきました。
「わ、渡部さん、もしかしたらこれ脚が一組足りなくないかなあ?」
と控えめに質問が・・・。
「え、うそ、いやいや絶対あるはずだよ。」
と軽トラや地面をなめまわすように探すのですがありません。あんな大きなもの、みんな
がないといえばないにきまっているのですが、往生際が悪い私はそれでも探し続けたのです。
「渡部さん、渡部さん、だいじょうぶだよ。時間あるので一緒にとりに行きましょう。」
とお父ちゃんNが誘ってくれました。なんとやさしいお方なのでしょう。
他の二人も笑顔で見送ってくれました。
足りなかった脚も無事に見つかり、再び作業を開始。骨組みが終了し次はテント張りへと進みます。
しかし、またもや事件が・・・。テントのサイズが、何かおかしいのです。どう動かしてもはみ出
すのです。一瞬、4人全員の動きが止まりました。
「え~~え~~え~~。」
と心の中で叫ぶ私。
途方にくれているとまたもや3人のお父ちゃんが笑いながら
「やってくれますね。また取りに行きましょう。」
と暖かな言葉を投げかけてくれました。
「もうこれで何もないだろう。」
と思いながら、3人のおとうちゃんに
「いや~おまたせしました。また何かあったらみんなから袋叩きだね。
しかし、3回目もあるかもね。僕のことだから。アハハハハ。」
と自虐ネタで笑っていると、本当に3回目がおこってしまいました。
「わ、渡部さん、隣の自治会はブルーシートを敷いているけどいるんじゃないですか?」
渡部「・・・・・・・・・」
数秒間、無言が続いた後、
「だいじょうぶだよ。依頼書にはテントのみだったから。だいじょうぶ。だいじょうぶ。」
と自分に言い聞かせるように、不安そうな表情の3人のお父ちゃんに説明をしている
まさにその瞬間に、今度は隣の自治会の人がブルーシートを敷き始めたではありませんか。
渡部健史、ノックアウト。その場でテンカウントが鳴り響きました。
==おしまい==
追伸:それでも私を見捨てなかった3人のお父ちゃん。3度取りに行って何とかテント準備を終了できました。
一度も嫌な顔をせずに反対にはげましてくれた3人。人のやさしさをひしひしと感じられた一日でした。
渡 部