ケーキ

今日は、川上家のちょっとした記念日。家に帰る前にケーキを買った。

ケーキ屋さんにいくことなんてまったくない。しかも一人。緊張した。

どうも一人で外のお店にいくのは変に緊張する。

すき屋のカウンターでひとり牛丼をたべるのさえ緊張する。

にぎやかだとさらに緊張する。


並べられているケーキを見ようとした途端、お店の人が近寄ってきた。

そうだ。ケーキ屋さんに入るということは、ケーキを買うという意思表示をしているのだ。


本屋さんや、服屋さんのように「みるだけ」では許されない雰囲気を感じてしまった。

ちらりとお店の人をみると、メモ用紙とペンをもっていて

「お決まりですか?」とニコニコとたずねてきた。


「まだ、まともにケーキ見てないよ~」と思いながら

なぜか早く決めないととあせってしまう。

ケーキの名前はかろうじて目に入るが、下の説明はまったく目に入らない。

けっきょく、チョコレートのやつや、チーズケーキ、モンブランなど、当たり障りのないのにしてしまった。一番下の娘はプリンにした。

そうこうしているうちに別のお客さんがきた。当然女性。

包装してもらっている間も、ものすごく長く感じるし居場所が無い。



ここは私の居場所ではない。そう感じた。

入り口付近でまっていると、


「お待たせしました」と奥へ案内される。

「レジはそっちかよ!入り口でいいじゃん」と思う。


いそいそとお金を払いながらも、あることに気づいてお店の人に質問した

「あの、保冷剤かなんか入ってます?」

「あ、包装してしまったので・・・少々お時間いただけますか?」

「まだここで待たないといけないのか」と思いながらそわそわ。




そうするとまた別のお客さん。

ますます居場所がない。ケーキと反対側、壁のポスターを見たりして気をそらす。


ようやく包装が終わり、ケーキの箱を受け取る際に

「あの、一個ケーキをサービスしておきましたよ」


私の緊張っぷりをみての配慮か?

「あ、ありがとうございます」といいつつ、そそくさと店を出た。




家に帰ると、上の子ども二人は寝ないでまっていてくれた。

もう寝る直前で、

最初は、明日たべるとかいいながらも、表情はそう言ってはいない。



自分ではわからないが、表情で伝わることはたくさんある。

ケーキ屋さんにいた自分もさとられていたはずだ。


こどもたちに食べてもいいよと声をかけるとうれしそうにケーキのほうへやってきた。



パジャマ姿で、思いっきりほうばってくれた。

ケーキを食べながら

今晩の地震がこわかったと話してきた。

息子は「水がくる?」と津波を心配していたらしい。

震災の教えはきちんと宿っていると思った。

父親としてこの子たちを守らなくてはと思った。


ブログを書きながら、買ってきたケーキを食べている。

サービスのケーキがどれかはまったくわからなかった。川上