「怒り」の力

久しぶりに木次の図書館に出かけた。

僕の行きつけ図書館は

島根県立図書館、松江市立図書館、そして木次図書館の3館。

それぞれにそれぞれの良さがあり

甲乙つけがたいのだが

特にお気に入りは木次図書館なのかもしれない。

あえて短所と言えば、新刊の数が少ないという

ある意味図書館の評価を決める上で致命的な短所といえるのだが

それを補うほどの居心地の良さがある。

図書館好きの方は、ぜひ一度足を運んでみてほしい。

納得がいくと思う。


ちょっと、話がそれてしまった。

今回の内容は、本の紹介。

その木次図書館で見つけた。

タイトルは

アスペルガー症候群だっていいじゃない』(しーた著 田中康雄監修 Gakken)

である。 

この本、僕にとって近年ではかなりのヒット作品となった。

自身がアスペルガ―症候群であるシータさんの書いた自叙伝である。

アスペルガーの多くの特徴を項目にかえて

体験談を基にシンプルでイメージがしやすい文章で表現している。

また、4コマ漫画も取り入れ、視覚的にも理解しやすい内容となっている。

とにかく、この本は最短で発達障害者の世界に

足を踏む入れる事が出来る作品だと自信を持って推薦できる。

特に支援者の方には購入してほしい。読書が苦手な方でも、興味を持って読めると思う。


一文、紹介する。


―引用文―

アスペルガー症候群の人は

こだわりが強いため、ささいなことで怒りを感じてしまいます。

特に独特の正義感からくる怒りは、特徴的ともいえるでしょう。

私も、こうした気持ちの制御がとても難しいのです。

私自身が、冷静に自分自身の人生を振り返って考えたとき

「怒り」によって得られたものは少ないです。

内なる「正義の怒り」は、何らかのプラスの行動へと変換できた場合には

よい結果が得られる事がありました。

また、正義であれ悪意であれ

「怒り」は

感情的に外へ向かって表現してしまった時点で

マイナスの結果を導くものとなってしまいます。

ましてや

暴力

暴言

に走ってしまっては、自ら地獄へ飛び込んでいくようなものです。

怒りの感情をもつことそのものは、自然なことです。

ただ、その怒りを「感情的に表現すること」が問題になるのです。

だからといって

「怒り」の表現を単に「我慢」するだけでは

自分自身の中で「怒り」が

渦巻き

増幅し

怒りの炎で自分自身を内側から焼き殺してしまいます。

「怒り」は

我慢するのではなく

自分自身の中に納め

自分がよりよく行動できるための

原動力

起爆剤

へと変換することが大切なのです。)


同感である。

僕も子どもたちには同じように「怒り」について教えてきた。

素直に自身の気持ちを受け入れた上で、そのパワーをどう活かしていくのか?

これは現代の人間に与えられた永遠のテーマともいえるのではないか?

そう思えてきた。

「怒り」だけでなく、「不安」も「悲しみ」も同じように

自分を高める力に変えれば良い。

そう思えた時から明るい未来が見えてくるはず。

ではどうしたらそう思えるのか。


まずはシ―タさんの作品をぜひ読んでみてほしい。

次にテンプル・グランディン女史の作品を読んでほしい。

そして、その他の発達障害者である方の作品を読んでほしい。


そう思えるヒントがたくさんたくさん詰まっている。

                            渡 部