PECSの魅力 コミュニケーションはたのしい

すこしまえに米子でひらかれた

「PECS 2DAYベーシック」に参加する。

PECS(ペクス:絵カード交換式コミュニケーション・システム)

についての基礎をとても興味ぶかくまなぶことができた。


PECSでは、本人の

「ほしい」「やりたい」という気もちを大切にする。

応用行動分析学にもとづき、

本人にとって利益がある(やくにたつ)

コミュニケーションなので、

障害の程度や年齢にかかわらず、

だれにたいしてもつかうことができる。

カードをつかいながらすきなものを手にいれたり、

快適な状況を獲得することを体験し、学習していくので、

段階をおってしだいにコミュニケーション能力を

たかめていくことができる。

そして、


1 本人の好子(のぞむもの)をアセスメントする

2  かならず本人の自発をまつ

3  エラーを最小にし、修正する

4  プロンプト(手だすけ)を徐々にへらしていく


という原則は、

そのままわたしたちが日常の支援で

大切にしなければならないことばかりだ。

PECSは物理的・視覚的な構造化についてまなべるし、

スケジュールもつたえることもできる。

PECSの学習と実践は、

支援者の技術をたかめるのに

とても有効におもえた。


意志のやりとりは、そのこと自体がたのしい、

というコミュニケーションの本質をPECSはいかしている。

おしえられる側は、トレーニングのなかで、

自分がすきなものをとりあげられることを

はじめはいやがっている。

でも、カードをわたすことでそれをもらえることがわかると

しだいにそのやりとり自体をたのしむようになる。

ほしいものがもらえるからやる、ということにくわえ、

コミュニケーション自体をたのしめるところも

PECSの魅力となっている。

コミュニケーションをかわすことは

ただそれだけでたのしいことなのだ。


PECSでは

「重要なコミュニケーション・スキル」として

9つのスキルがしめされている。

9つはさらに

「表現スキル」と「理解スキル」にわけることができる。


表現スキルは

1 好子(ほしいもの)を要求する

2 手助けを要求する

3 休憩を要求する

4 「○○がほしいですか?」に「いいえ」をつたえる

5 ○○がほしいですか?」に「はい」をつたえる


であり、

理解スキルは


6 「待ってね」に応じる

7 移動の合図に応じる

8 機能的な指示に従う

9 スケジュールにしたがう

である。


わたしたちが利用者の方に身につけてほしいスキルは

こんなふうにすっきり整理することができるのだ。


いまさらおおさわぎをするのがはずかしいくらい、

PECSはすでに一般的な支援法としてひろまっている。

こだまがこれまで手をださなかったのは

じつにもったいないことだった。

非常にわかりやすかった

講師の今本繁さんの説明を手がかりにしつつ、

そして第2版ですばらしいできとなったマニュアルを参考に、

こだまでもさっそくPECSをためしていきたい。

(吉田 淳)