まちがったほうがたのしい

高野秀行『間違う力』(メディアファクトリー


ふるくは『老人力』から

最近では『断る力』など、

「○○力」をうたう本はかまびすしく、

うさんくさい内容のものもおおい。

わたしがひいきにする高野秀行さんの

『間違う力』は、

まちがいなくよむに値する本だ。


「オンリーワンになる方法について本を書いてほしい」

と高野さんは依頼をうける。

いまの若者は「個性的な人間になれ」とか

「好きなことを仕事にしろ」とか

いろいろたいへんなのだそうだ。


「ある意味、『みんなと一緒にやれ』より

『オンリーワンになれ』と言われるほうが難しい」からだ。


高野さんはこれまでの自分の行動を分析し、

以下の10のパターンに分類した。

1 他人のやらないことは無意味でもやる

2 長期のスパンで物事を考えない

3 合理的に奇跡を狙う

4 他人の非常識な言い分を聞く

5 身近にあるものを無理やりでも利用する

6 怪しい人にはついていく

7 過ぎたるは及ばざるよりずっといい

8 楽をするためには努力を惜しまない

9 奇襲に頼る

10 一流より二流をめざす

ちょっとみただけで「ピクッ」と反応するでしょ?

なんのことかくわしくしりたいひとはぜひ本書をおよみください。


高野さんは「おわりに」でこうまとめている。


1 とにかくやること

2 手段を選ばないこと

3 正しいかどうかより面白いかどうかで決めること

「私の行動基準をさらに一言に凝縮すれば「3」に尽きる。

 他人がやっていない新しいことをやるのに、

正しいかどうかなどわかるわけもない。

そんなことを考えるより、

自分がワクワクしているかどうか

確かめることが先決だ。

 実際のところ、

何をやるにもワクワクしているかどうかが

いちばん肝心なのだ」


そうなのだ。

ワクワク感こそがたのしく生きるエネルギーだ。

最近のわたしにかけていたものを気づかされ、

これからの方針をかためることができた。


「ちゃんとしてなくてもいい。

気軽でもいい。

てきとうでもいい。

でも今、はじめる」


なんだかんだいうばかりで

じっさいにうごけないひとがどれだけおおいことだろう。

できない理由をかんがえるより、

ワクワクすることを

とにかく実行するほうがずっとたのしい。


高野さんはしめくくりは、こうだ。


「ワクワクしながらチャレンジしていくのが人間の特権だろう。

だから、人生に間違いなどない。

これが私の結論であり、

この結論が間違っていないことを祈るばかりだ」


まちがっていてもいいからワクワクして生きよう。

(吉田 淳)