子離れの時期

 来春卒業予定の長女が、最後の演奏会になるというので家族みんなで出かけてきた。

音楽が好きで、中学校に入るとブラスバンドに入りそのまま大学でも続けていた。

音楽とは無縁の父は、これまで一度も演奏会など聞きに行ってあげてことがなかったが、

本当に好きでやっていることを一度チャンとみてあげておかないと、という思いで

出かけてきた。

 大学生がやるコンサートだから大したことはないだろう、と思っていたのだが

会場に着くやびっくりしてしまった。開場1時間前だというのに列ができている。

そのうち列が長くなりすぎて、また別の列が作られるといったことになった。

2000人ぐらいが収容できるようなホールで、プロのコンサートも行われる場所らしい。

 ホールの中央正面に座って開演を待つあいだ、なんだか期待が膨らむのと同時に

娘にはこんな舞台があったのか、と感心する。

 

 クラシック音楽などわからないのに、聞いていくうちになんだか引き込まれ、

娘が楽器に手をやるとなんだか気持が高揚してくる。

 演奏が進み、クライマックスに達するとなんだか目頭が熱くなってきた。

こんなサークルで4年間過ごしてきたんだ。

いい出会いがいっぱいあったろうな・・・。など

いろいろなことを考えた。

思い返せば、自分も大学の4年間は本当に貴重な体験や知識を吸収した時期だった。

娘も4年間で本当に貴重な体験をつんだことだろう・・・。

 演奏が終わって拍手が続く中、演奏したみんなが満足した表情をしていた。

こんな体験ができるなんて、きっと至福のときだろうなー、と思うと

なお一層目頭が熱くなってくる。

 

 こんな体験をした娘はさぞ自信をつけてきているだろう。

 そろそろ、子離れをしないといけないのかも・・・。


                 山田