『脳に悪い7つの習慣』(林成之・幻冬舎新書)

北京オリンピックでの北島選手の活躍で

林氏の『「勝負脳」の鍛え方』が有名になった。

林氏は脳の専門家として、

脳のしくみからその本能をときあかし、

スポーツや日常生活へのいかしかたをおしえてくれる。


林氏によると、脳の本能は

「生存したい」・「知りたい」・「仲間になりたい」、

と3つに整理することができるという。

この脳の本能からみちびきだされた脳の生かし方が

本書のタイトルとなっている。

脳にわるいこと、脳にごほうびになることをしることで

わたしたちの能力をたかめることができる、という内容だ。


わるい習慣とは、

1 「興味がない」と物事を避けることが多い

2 「嫌だ」「疲れた」とグチを言う

3 言われたことをコツコツやる

4 常に効率を考えている

5 やりたくないのに我慢して勉強する

6 スポーツや絵などの興味がない

7 めったに人をほめない


の7つだ。

このうちのいくつかはわたしにもこころあたりがあり

興味ぶかくよむことができた。

林氏は、やめればいいのだから、

「○○できるようになること」よりもずっと簡単、

とかいておられるが、

よんでみるとそう簡単でないこともあげてある

(「だいたいできた」と安心してはいけない、とか)。

どこまでこの本をしんじて実行にうつすかが

読者にとわれてくる。


いま、これをかいてるわたしにしても、

「だいたいわかった」レベルの理解しかしておらず、

こういうのも「脳に悪い」よみかた、といえる。


わたしなりに「7つの悪い習慣」を大胆に要約すると、

○常に前向きにかんがえる

○笑顔を大切にする

となる。

こうかくと、なんだかあたりまえのような気がするが、

それを「脳へのごほうび」と

わかっているかどうかが大切なところだ。

悪い習慣をやめられないのは、

それが脳にわるいということを

しらないからだ、とこの本にはかいてある。

個人の、そしてチームの能力を最大限にたかめるために、

7つは無理でも(この否定感がすでにペケ)、

この2つぐらいは常に意識してくらそうとおもう。

なにかの課題をあたえられたとき、

「無理かもしれない」とおもったらもうだめなのだ。

否定的なとらえかたはせず、

その状況で最良な結果をだすために

なにをするべきか常にかんがえる。

そして、そのためにも笑顔をいつもわすれないこと。


「あの人の喜ぶ顔が見たい」と

社会に貢献しようとする気もちでいることは、

自分のことばかりかんがえるより

脳にとって「よりよいごほうび」なのだそうで、

こだまでの仕事はまさしくこれにあたる。

利用者やその家族に喜ばれたい、

という気もちではたらくことは

自分の脳にもいいし、社会にもいいし、相手にもいい、という

3者がしあわせになる道になる。


ちなみに、

いわゆる「脳トレ」では脳の機能をたかめられないそうで、

「行なう必要はありません」とばっさりきりすててある。

ここはぜひ川島氏の反論をまちたいところだ。

(吉田 淳)