娘への小言

 実家には80歳になる母が一人暮らしている。近くに姉夫婦や孫夫婦がいるので頻繁に連絡を取って

買い物や病院通いをしてもらっている。いつも「心配ないよ」といっている。

 先週末にお墓掃除をかねて高校生の娘と一緒に帰ってきた。

帰ってみると、草ぼうぼうの家を想像していたのだが、周りも山も草刈り機が入ったようになっている。

母が、毎日体に障らない程度にやっているらしい。

それでもと思い、家の周りとお墓に行くまでの道の草刈りをした。

 あまり後継ぎだとか、家を守るだとかの気持ちはないのだが

どこかに父や兄を尊ぶ気持ちがあるようだ・・・。

 その夜夕御飯が終って、娘と都万の海まで貝採りに出かけた。

昔はよくいったものだ。夕方になると海深く身を隠していた貝たちが

磯を目指して一斉に上がってくる。大きな貝が岩場やテトラポット

くっついているのだ。本当によく採ってきたものだ。

ところが今では貝の姿が見えない。見えても小さいものばかり!

 でもこの日は比較的大きな貝もテトラポットに上がってきていて

久しぶりに貝取ができた。娘はと言えば、早々に車に戻り携帯電話で

メールをしている。

 『折角の海なんだから、楽しめばいいのに』と小言がつい出てしまう。

                夏休みの山田