あっぱれ!優柔不断男

社会人になるまでの20年間、全くといっていいほど女性にはもてませんでした。失恋もその時すでに3回。チャレンジ精神だけは旺盛で「好きになったら即告白」をくりかえしていました。

3回も振られて、こういうのも何なんですが、当時、僕は恋愛にはまじめで「男女間に友情などありえない。付き合うなら将来についても責任をもって考えないと相手に失礼だ。」という、人によっては危ない恋愛思想の持ち主でした。だから告白も真剣そのもの。反対に女性にとっては、そんな雰囲気が怖かったのかも。今振り返ればそう感じます。


恋愛の運気が変わってきたのが20歳を過ぎたころ。丁度、大阪に就職して1年が経つぐらいでしょうか。今までの人生がうそだったかのように、女性にもてるようになりました。特に年上の女性に。

理由としては、「今は恋愛どころではないなあ。仕事に自信がもてないのに、彼女を幸せになんかできない。」とクソまじめに悩み、恋愛放棄宣言を自分に下していたので、女性に対しては肩の力が抜けたというか、自然体になったというのか・・・。それが反対に好印象を与えたのかもしれません。何が幸いするのか、世の中わかりませんね。

そのおかげで?、何人かの女性からお誘いを受けました。

しかし、当時の僕は恋愛放棄を決め込んでいたため、丁重に全てのお誘いを断ってしまいました。

何と馬鹿なことをしてしまったのでしょう。こんな幸運は二度とこないのに・・。実際に当時から15年たった現在、恋愛幸運期は一度も来ていません。(そんなこといったら奥さんに叱られるかもしれないけど・・・。)

残念な人ですね。渡部は・・・・。


断った件のうち、1件だけ例外がありました。これは僕のおちょこちょいで駄目になった件。

あれは大阪に出てから2年ぐらいの時で、季節は夏だったと思います。会社の寮の先輩の紹介で

2対2+先輩との飲み会に参加したときのこと。

場所は大阪梅田の居酒屋で、相手は保険会社のOL。一人は小雪似のスレンダーで色白の美人タイプ。もう一人は荒川静香似のクールビューティー。。大当たりです。(これ本当ですよ。)

しかし、当時の僕は恋愛禁止令中の身であり、最初から相棒の恋愛応援団長になりきる覚悟を決めていました。「もったいないなあ~。」と本音では思いつつも・・・。

さあ、渡部健史タイムの始まりです。

◆店員:「いらっしゃいませ~。(元気よく)飲物は何になさいますか~。」

◇渡部:「ビール10本!」

◆全員:「でえ~~~~~~」  

◇渡部:あせった感じで「いやいや、間違えた、間違えた。ビール8本!」

◆全員「でえ~~~~」  ◆先輩:「あほか~お前は!何ぼ何でも頼みすぎや~。」

◇渡部「じゃあ1本!」   ◆先輩「あほんだら~。今度は少なすぎやろ~。」

といった感じで、スタートダッシュに失敗してしまいました。気負いすぎたのでしょうか?

その後は、何とか先輩が場を盛り上げ、無事に飲み会は終了しました。


しかし、数日後、奇跡が起こったのです。


◆先輩:「おう渡部。喜べ、喜べ。何と、あのAさんがお前を気に入ったらしく

      すぐに連絡がほしいそうだ。これ会社の連絡先。早くかけてやれよ。」

◇渡部:「本当ですか~。うわ~。(思わずニヤケル。)・・・・・・少し考えて・・・・・・・

      でも先輩。やっぱり駄目です。今、僕は恋愛謹慎の身。断ってください。」

◆先輩:「何やと~。お前はアホちゃうか~。一生にないチャンスかもしれへんのに。

      つべこべいわずに、はよ電話せんかい!」

◇渡部:「いや、できません。そんないい加減な気持ちでは相手に失礼です。」

◆先輩:「なんやねん。お前は~。ええや、もう勝手にしいや。俺は知らんけんなあ。」

と、こんなやりとりがありました。

しかし、ここで終わらないのが渡部健史。あんな啖呵をきったものの

「こんなチャンスはめったにこないぞ。電話をかけろ。健史。一度くらい約束をやぶっても

いいじゃないか。へへへへへ~。」と悪魔のささやきが聞こえてきました。


そして渡部健史のとった行動とは?


なんと、あっさりと公約を破ったのです。悪徳政治も顔負けのこの行動。

速攻で公衆電話へかけこみました。緊張しながらダイヤルをピポパポと。

今思えば、とんでもない優柔不断男。恋愛欲にあっさりと負けてしまいました。

◇渡部:「もしもし、渡部と申します。Bさん、お願いします。」

◆Bさん:「あ、もしもし。Bですけど・・・。何か?」

◇渡部:「あ、あの~。先輩から聞いたのですが、Bさんが僕からの電話を待っていると聞いたものですから~。」

◆Bさん:「私、そんなこと一言もいっていません。ガチャ。プ-プ-プ-・・・・・」

◇渡部:「・・・・・・・・・・・。あ、Aさんだったかな?しまった~。」

その後はみなさんの想像通り。先輩にこっぴどく怒られて、ジ・エンド。

                              おわります。さようなら。   渡部