不安の壁の先に・・・・。

アメリカ発のサブプライム問題による世界的経済不況は、日を追うごとに、その深刻さが増してきています。僕の親族にも、大手の自動車や製造業に就労している人も多く、直にその深刻な状況を聞いているため、人事ではありません。僕にも何かお手伝いできることがないのか、自分なりに考えています。

先日、大手の電気会社をくびになった派遣労働者員の解雇撤回による運動の様子をテレビで見ていました。その時に、僕は「もったいないなあ。そのエネルギーは、自分の力を必要としてくれる場所を探すのに向ければ良いのに・・・・。」とふと思いました。

派遣労働者の方々が口々にする不安は、「年齢制限がある。」「資格がない。」等、条件が合わずに、自分が就職できる会社が存在しない。ということでした。しかし、これはハローワーク用の資料であって、額面どおりに受け取る必要はないと僕は思います。事業所は、やる気のある人がほしいのです。確かに、年齢は若く、資格や経験があるにこしたことはなにのですが、実際には、やる気があり、真面目な人であれば、条件に満たしていなくても採用する会社はたくさんあると思います。これは僕の経験上からの推測なのですが・・・・。

大切なことは「私はあきらめない。」の気持ちで、会社に自分を売り込むこと。最初から正規社員を条件にするのではなく、見習いやボランティアから始め、時間をかけてから自分への評価をしてもらう方法等、自分から会社にアイデアを提示すると、またあらたな希望が生まれてくるのではないでしょうか?

実は、僕も10数年前は、大阪でサラリーマンをしていた時期があり、その時は将来に希望を見出すことが出来ずに、不安な日々を送っていたことがあります。理由は、ただ単に[仕事がわからなかった。]ということだったのですが、親や学校、そして先輩に迷惑をかけたくないし、また、生活ができるのかの不安が大きく、なかなか辞職する決意ができなかったのです。

その時にある本に出会いました。その本には、「ストレスをかかえたまま、自分の存在価値を見出せない会社にしがみつき、人生を終えてしまうのか?それとも、不安をかかえたまま、明るい未来に向かって、始めの一歩を踏み出すのか?人はみな何かしらの使命を受けてこの世に生まれてきた。その使命を見つけるために、何度も挫折を味わい、不安と戦いながらも、その度にはじめの一歩を踏み出すことが大切なのではないか?」と書かれてあり、大きな衝撃を受けました。

早速、はじめの一歩を踏み出した僕は、自分の使命というか、自分の特技について考えました。すると、一つだけ見つかったのです。それは、人を笑わせること。この瞬間だけ、自分の存在価値を見出せていました。では職業では何が良いのかと考えること数日。最初に思い浮かんだのは、吉本興業のお笑い芸人。しかし、何かしっくりと自分の気持ちに入ってきません。そうこう悩んでいた時、たまたまテレビで週間ボランティアという番組が目に飛び込んできました。「この仕事はおしゃべりが好きで、おもしろい人なんか、むいていますね。」というコメントを聞いた瞬間に、「これだ!」と感じました。

そこからの行動力は、今までの自分では考えられないものでした。すぐに吹田市役所に行き、福祉施設の一覧表を入手し、次々に電話をかけ、見学の依頼をしました。OKの場所には、週末に会社の友人に送迎を頼み、すべてをまわりました。その中で一番雰囲気が良くまた施設長の考えが共感できたある身体障害者更生施設にボランティアとして勉強することを決めました。しかし、全くの未経験。失敗の連続でした。今までの自分なら「迷惑をかけてはいけない。」と考え、辞めるパターンなのですが、この時は、なぜか通い続けたのです。そして半年が過ぎ、突然、施設長から「話がある。」と呼び出されたのです。「山崎君(旧姓)。うちで働いてくれないか?利用者のみんなが必要としている。」といってくれたのです。その時の光景は今でも忘れられません。「生きていて良かった。やっと自分の使命をはたせる仕事に出会えた。」とそう思いました。

しかし、いろいろな事情により、結局はその施設で働くことはできませんでしたが、今こうして、最高の職場で、自分の大好きな仕事をやらせていただいています。本当に幸せ者です。

ということで、僕は今、不安の最中でもがき苦しんでいる人たちに、希望をいだいて、そして自分を信じて、はじめの一歩を踏み出してほしいと思います。答えはなかなか見つかりません。でも、きっと諦めずに、その都度、はじめの一歩を踏み出せば、いつかは自分の捜し求めていた使命に出会えると思います。この不況は、逆にチャンス。世論が完全に追い風になっています。自分たちの権利を堂々と行使し、また希望や夢を持って、不安をうちやぶってください。                                                        

                                                         渡部