私と父

父のことは、以前書いたことがあると思いますが、私の父は7年前に亡くなりました

その頃の私はとても忙しく、父が亡くなった日も病院で退院の調整中で携帯がつながらず

昼に亡くなったのですが、連絡がついたのは夕方でした

実家に帰ると、父はもう病院から帰っていました

ただひとつ救いだったのは、前の日に付き添うことが出来た事です

父はもうあまり意識がありませんでした

口の中に痰と、それを吸引する為に出来た出血で血液とがこびりついていて

それを少しづつぬらしながら、ていねいにていねいに取ってあげました

それから、ていねいにていねいに、体を拭いてあげました

意識の朦朧とする中、父は目を開けてくれました

私が「えらくていけんね」と言うと、父は「うん」とうなずき、また目を閉じたのです

私と父の心が通じた一瞬でした

後でみんなに話しても、気のせいだと言うばかりでしたが、父は私に最後のお別れをしてくれたのだと

思っています


亡くなって何日かは来客も絶え間なく、、一連の儀式を終えるのに一生懸命で

悲しさや寂しさは後回しでした

寂しさを感じたのはずっと後になってからでした


元気な頃は思ったことも無かったのに

父の大きな手と、あぐらの中のなんとも言えない安心感が思い出されました

私はいつも父に反発ばかりしていたけれど、父はいつも大きな愛で包んでくれました

どんなに離れていてもそれを感じることが出来たけれど、ありがとうと言う事も出来ませんでした

もう話を聞いてもらうことも出来ないと思うと、もっと話しておけば良かったと悔やまれました


でも父から受け継いだ大切なことを、また次へ残していく事が父への恩返しだと今頃は思っています


大好きなおとうさん

きっと今も見てくれてますよね

私は元気でやってます

安心してください


この年ですが、末っ子で甘えん坊な伊藤でした