一流選手のおよぎはとてもうつくしい

県立プールのジムで自転車をこごうとしたら、

ちょうど北京オリンピックの男子トライアスロンをやっていた。

iPodをきいてのトレーニングよりずっとたのしめそうだ。

オリンピックをみながらのトレーニング、という

めったにないシチュエーションに感謝し、

「脈拍130で30分」と自転車のパネルを設定してスタートする。

テレビの画面では、選手たちがはやいピッチでおよぎつづける。

このペースが1.5キロもつづくなんてしんじられない。

つかれなんてしらないかのように

正確な動作を延々とくりかえす。まるで機械だ。


2つのグループが形成され、

それぞれがゴチャゴチャの状態になっている。

多伎の「スイムラン」レベルでさえ

スタート直後のダンゴ状態にイライラするけど、

トライアスロンではみずから集団にはいり、

となりや前の選手にぴったりくっついておよいでいる。

とおくからの映像では、

いけすのなかを魚の群が移動しているようにみえた。

自転車のレースで、先頭が風よけになるような効果が

水泳でもあるのだろうか。


一流選手のおよぎはとてもうつくしい。

どれだけの練習をかさね、

このフォームとピッチを身につけたのだろう。

自転車やランニングをみるまでもなく、

選手たちの能力はじゅうぶんに超人的だ。

トライアスロンの映像から、

ジムで自転車をこぐエネルギーを

もらおうとおもっていたけど、

あまりのレベルの差に、

反対になんだかつかれてしまった。


トライアスロン以外では、

女子サッカーが印象にのこっている。

なかなかボールがつなからなかったり、

相手とのせりあいによわい男子A代表をみなれているので、

「なでしこ」たちのまえむきのプレーはとても気もちがよい。

アメリカ戦では、あきらかにちからの差があったうえに

相手には運も味方した。

普通なら、めったにはいることのない場面でのシュートが

2本つづけてはいり、得点は4対1と絶望的となる。

それでも最後までゴールをめざしつづけ、

ロスタイムで1点をかえしたねばりづよさはみごとだった。

いつまでもおなじ失敗を延々とくりかえしている

男子A代表のサッカーがほんとにつまらなくおもえた。

(吉田 淳)