リスクをおそれないこと

このブログでなんどか紹介してきた梅田望夫さんの新刊がでました。

『ウェブ時代5つの定理』(文芸春秋)。

梅田さんはご自分の勉強法として、

シリコンバレーのオピニオン・リーダーたち(本書でいう「ビジョナリー」)がはなつ

「切れ味のよい言葉」に注目し、

それらをさがしてはかんがえるということを

10年以上つづけてこられました。

この本はそれらを「5つの定理」として整理されたものです。

紹介されている言葉はそれぞれにみなすばらしく、

たとえば

「好きな人と働くことが原動力」

「全員イエスでなければ採用しない」

「邪悪であってはいけない」

など、ちょときいただけでもピクッときくる言葉だらけです。

とはいえ、いちいちかきだしていたらきりがないので、

ここでは全編をとおしてかんじたことについてかくことにします。


それは、「リスクを冒して攻める」という、

まるでサッカーの試合についての感想のようなものでした。

リスクをしっかりイメージにしながらも攻めのスタイルをくずさないこと。

受け身の姿勢で守りにはいったら、どうもビジネスもサッカーも、

そしてもちろん人生でもあまりよろしくないようです。

1対0でリードしたときにその1点をまもろうとするのではなく、

リスクを冒してつぎの1点をねらわなければいいサッカーはできません。

その姿勢はおおくの場合まけにつながるし、

そうしたチームは将来にむけて成長することもできないのです。

(今夜のバーレーン戦が心配です)。


「リスクを冒して攻める」ことは、

こだまのような事業所にとってどういうことを意味するでしょう。

介護サービスを提供するときによくいわれるのが、

自分たちのスタイルを大切にしながら利用者のニーズにこたえる、

ということです。

そしてその実現のために中・長期計画をたてる。

しかし、どうもそれだけではむつかしそうだ、

というのをこのごろかんじるようになりました。

現在のように環境の変化がはげしい時代には、

計画にそって事業を展開することよりも、

状況の変化に対応して変化するちからが必要なのだ、

ということがなんとなくみえてきたのです。

相手にあわせてサッカーをする、というと

主体性がないみたいだけど、

自分たちのスタイルにこだわったところで

相手がどうでるかによって状況はいくらでもかわってしまうのだから、

それにおうじて適切な手をうつ必要があります。

こだまではそれがうまく機能しているでしょうか。


もしかしたら、これまではなんとかうまくいっていた、

といえるかもしれません。

創設期ならではの一生懸命さがあったでしょうし、

規模がちいさいのでこまわりのきいたうごきがとれました。

でも、これからもこれがつづけられるという保証はどこにもありません。

「リスクを冒して攻める」という姿勢を意識することが、

これからも創造的なちからにあふれた事業所でありつづけるための

おさえどころのようにおもえます。

(吉田 淳)