出雲弁

日常会話はもちろん出雲弁です。

その出雲弁のおかげで、どんでもない間違いをしていることが最近わかりました。

以前からよく知っているおじさんを家族はもちろん誰もが、「ふさおさん」と呼んでいます。

ですから当然私はそのおじさんの名前は「ふさお」さんだと信じていました。

ある日、何かについて話している時、その「ふさおさん」が登場しました。

私はなぜかふと家族に、「ふさおってどんな字? ぶどうが一房とかの房?」と聞くと

「いんや(いいえ)、もっと簡単な」と言って、手で空中に書くまねをしてくれました。

それはどう見ても、「久」なのです。

「えっ? それってもしかして久しぶりの『久』?」と聞くと当然でしょうというように「うん」と

言われてしまいました。

「じゃあ、『ふさお』さんじゃなくて、『ひさお』さんだがねえー」とおもわず叫んだ私でした。

ずーっとずーっと前から知っているおじさんの名前を間違えていたなんて・・・

幸い私が直接そのおじさんの名前を呼ぶ機会がなかったからよかったのですが。

「まったくぅー もー あんたたちの発音のせいでずっとまちがえちょったがねえ」と逆ギレ!

「し」と「す」 「ち」と「つ」 「ひ」と「ふ」 などの発音がその言葉の中間あたりになるのが

出雲弁です。だからこんなことが起きてしまうのでしょう。

ほかにも名前の間違いはありました。

「ちやこさん」が「つやこさん」だったり、「ふでこさん」が「ひでこさん」だったり、

そしてそれぞれの逆パターンもあります。みなさん実在の方々です。

今度からは名前は、漢字を覚えて、言われる度にその漢字を思い浮かべて話を聞こうと思いました。

そういえば、出雲弁で「おじさん」は「おっつぁん」と言います。この「おっつぁん」という言葉には

思い出があります。

子供のころ、ふと「おっつぁん」の「つぁ」はどう書くんだろうと真剣に悩んだことがあります。

その光景は今でもはっきりと覚えています。

ある晴れた日に、玄関を出た時、なぜか「おっつぁんの『つぁ』ってどう書くんだろう」と思ってしまいました。

そして、何回も何回も「つぁ つぁ つぁ・・」と言っては、「あいうおの表にない」と困惑してしまいました。

今思えば、おばかさんだったなと思いますが、その時はきっと真剣に悩んでいたことでしょう。

どうやって解決したかは残念ながら覚えてはいません。

                                  それでも出雲弁が好きな岩田でした。