文字をいれかえてみましょう

先日、帰宅電車でのできごと。

21時便は会社帰りの人でまだまだ混雑。座席が少し空いている程度。

私が座った席の通路を挟んだ席に、50~60手前のおじさんが耳に携帯電話をあてて渋い顔をして目をつぶっている。どうやら「ワンセグケータイ」のようでテレビか何かの音声を直接きいているようだった。テレビ画面を耳にあてている。すごい音漏れ。近くの人はみんなちらちら見ている。


次の駅につくと、ひとつ前の座席の方から30代くらいのサラリーマンがそのおじさんの耳元までいき、「うるさいですよ」と一言いって駅をおりた。あまりの突然の出来事にそのおじさんは「何がうるさいかや~」とぼそっと一言。自分の携帯から漏れる音がどれだけのものかまったくわかっていない様子。そもそもこのおじさんそういう使い方自体が不自然な気がするのですけど・・・。ひょっとしてよっぱらっている?少し顔が赤いような。

と傍観者を気取って注意することもなくしばらくそのおじさんの様子をみていた。


それからふた駅くらいすぎて、少し席にゆとりができた頃、そのおじさんは、隣に座っていた20代くらいのサラリーマン風の男に話しかけていた。

「さっきの人にこれ(携帯をさし)うるさいって言われたけど、うるさいかなぁ??」

若い男はこう切り返す。「どうでしょうね。聞こえはしますが。まあ気になる人は気になるでしょうね~~。」妙に気づかった言葉が返ってきた。

「おいおい」と心の中で傍観者は突っ込んでしまった。おじさんもマナーが悪いとかの問題じゃなくまあそんなに迷惑をかけるレベルではないという顔をしてまた、テレビ画面を耳にあてだした。

「でもおじさんさっき言われたこと気にしてたんだ」と思いなんだかおじさんがかわいく見えたのもあるが。


家に帰ってからしばらくこの一件を考えてみた。

若い男はなんといって切り返したほうがよかったのか?ましてや自分より年上の人に対し公共マナーについて伝えるのだから、少しは気遣いも必要だ。なんだか立場が逆転しているから余計にたちが悪い。スパッというにいえないもどかしさ。


いろんなことを考えているうちに、あることを考えてみた。

これが携帯やイヤホンの音漏れでなかったらどうなるか?たばこに置き換えたら、

「ここは禁煙ですよ」

「何が禁煙かや~」

「さっきの人にここ、禁煙って言われたけど、禁煙かなぁ??」

「どうでしょうね。においはしますが。まあ気になる人は気になるでしょうね~~。」

やっぱり最後の文章はおかしい。


夜遅くなればなるほど電車のマナーは悪くなると日頃電車に乗ってみるとよくわかる。新聞をおきざりにする人、靴のまま向かいの座席に足をあげる人、どれもいい大人ばっかりだ。

「マナーアップ週間です」と朝の電車の車掌さんはいった。見事に大人が守っていない。そして見事に大人が注意できない。

そう私もみていただけ。なんだか切なくなった。川上