ノーベル賞にまた一歩ちかづいた村上さん

村上春樹の『うさぎおいしーフランス人』(文藝春秋社)をよみました。

どんな本かというと、これは、村上さんがつくった「村上かるた」です。


「いくら否認しても、妊娠八ヶ月なの」

「ニラレバの世界にタラレバはない」

「ホットケーキのおかわりも三度まで」

「理由なきはんこは押すな」

などなど、延々と無意味だけど

おかしなことばあそびがつづきます。


わたしのおすすめは

「センセーショナルな扇子ですね」

です。

ここではジュリア・ロバーツが扇子2つをつかって裸おどりをひろうします。


「いきますよ。よーく見てくださいね。♪右出してほい、ほーら、左で隠して、見えません。

右手をくるっとひっくり返し、左を外そか、どうしようか、迷いに迷って右手でほい」

と、せっかくじょうずにおどってたのに、

「ジュリアさん、虫歯が見えますよ」

というかけ声がはいってきました。

ひとのよいジュリアさんは、おもわず口もとをかくしてしまいます。

「ああ、いけない。あわててつい虫歯を両手で隠してしまいました。私、プロとして失格です。しくしく」


このかるたには続編があって、ジュリア・ロバーツ

こんどはうちわをつかっての裸おどりに挑戦します

(「マスコミは入れないでください。うちわだけでやりますので」

という注文あり)。

どうなることか、おたのしみに・・・。


ちなみに

「よこしまなシマウマとは珍しいですね」

では、須山さんにさんざんきかされてきた

「よこしまなシマウマ」

が実物で登場します。

これはちょい悪シマウマの縞柄がだんだん横向けに

なって、というただそれだけのおはなし。

もちろん教訓めいた内容はいっさいありません。


この本をよめば、世の中なんだっていいや、ときっとおもえます。

ほんと、おすすめ。  (吉田 淳)