長所と短所

自己紹介でも書いた通り、僕の発する声は、周りの人にとても聞き取りづらいものです。

まるで、口の周りを見えないフィルターが覆っているかのようなこもった声です。

僕と話をする人の10人中10人が「えっ?」「はっ?」「何?」と1回は必ず言います。


生きていくうえで少々難がある僕の声ですが、一部の利用者さんにとっては落ち着ける声なのかもしれません。


今日の昼食後、歯みがきの時間での一コマです。

ある利用者さんが寝転んで歯みがきの介助をされていたところ、突然起きあがってしまいました。まだ歯みがきの途中なので寝転んでもらおうと声掛けをしていますが事態は変わりません。困った職員さんが、その場に居合わせた僕の方に目線をくれたので、何とかしようと思いますが、僕も歯みがきの途中です。歯ブラシをくわえたまま(良い子はマネしちゃダメだよ)利用者さんに近づき、肩をポンポンと叩きながら「んっ、んっ」と寝転ぶように促すと、寝転んでくれました。

必ずしも僕の「声」が要因とは限りませんが、歯ブラシをくわえていたので喋ることができず、声掛けは「んっ」のみです。だとすると、僕の声により利用者さんは安心して身を任せ、寝転んでくれたのではないでしょうか(少々自分勝手な推察ですが)。

聞き取りづらい声(短所)であると同時に、安心できる声(長所)でもあるのです。

このように、環境や場面、対象が異なれば、短所が長所にもなりえます。


これは利用者さんにも同じことがいえると思います。

できない部分をどのようにすればできるようになるのか、という視点のみならず、できない部分があれば少し視点をずらして他の場面で活かすことを見つけることにより、それがその人のストレングスになります。

色々な視点を身につけることで、利用者さんの力を最大限に引き出せるような支援をしていきたいと思います。


以上、声が小さいと自覚しながらも、あえて声を張ろうとはしないマイペースな八壁でした。