週2回、こだまで入浴をされる方がいる。
はじめは何もできなかったが、体を洗う事も髪を洗う事も手を添えて一緒にやっていた。
「いち、にー、さん、しー、ごー」と声をかけながら、
四や五のかけ声に手を離し、最後のひとこすりは自分でがんばっていた。
何度も何度も同じ事を繰り返していると、
いつしか太ももの前側を自分でごしごしと洗えるようになっていた。
継続は力だと思っていた今日この頃、
なんと今日は自分で髪を洗い始めた。
いつもは職員が手を添えるのをまっているのだが、
今日は彼が動き始めるのを待っている。
右手と左手を重ねて、頭の上に置いた。
いつもならそこで職員が手を添える。
でも今日は黙って待っている。
少しすると、その両手が前後に動き始めた。
自分でできた瞬間だった。
いつも職員が手を添えて動かしている動きだった。
すごくうれしかった。
いつかできるだろうと思ってやり始めたことが実を結んだ瞬間だった。
彼が自分でできたことをみんなに知ってもらいたくて、みんなに知らせた。
送迎の担当者にも家族にそのことを伝えてもらうように頼んだ。
できはじめたばっかりで、髪全体を洗うにはまだ不十分だが、
それもこれから。
できる(できた)ことをたくさん増やしていくぞー。
そう思えた一日だった。
田崎