少し熱めのお湯で入浴した。
体が赤くなり、全身の血行が良くなっている気がした。
湯船からあがり体をバスタオルでふこうとしたとき、
「クラッ」と立ちくらみがした。
何とも懐かしい記憶がよみがえってきた。
まだ小さかった頃、橋本家では湯船につかり100数えるまで風呂からあがれないルールがあった。
「123・・・20・・60・・・90・・・100」
と数え、風呂からあがると母はかならず掃除をしていた。
テーブルがすみにおいやられ、少し広くなった部屋をぐるぐる回った。
立ちくらみと、目がまわるのが気持ちよく何回も回った。
ヘラヘラ笑いながら回ってはこける姿をみて
母は「もうやめなさい!いいかげんにしいや!」と
心配そうな表情を浮かべていた。
そんな母の事など気にせず
お決まりのオロナミンCを飲み、
お決まりの呪文をとなえ
電気を消したら光るマリオブラザーズの人形と、
「結婚しても、おじいちゃんになってもこれだけは持っていくと心に決めた戦車のプラモデル」
を抱いて眠りについていたあの日を思い出した。
橋本