やり抜くのは惰性で、サボるのは決断

『だいたい四国八十八ヶ所』(宮田珠己本の雑誌社


宮田珠己による、例によってお気楽な旅行記で、

内容のほとんどが軽口でしめられている。

ただ、ときどきスルドイ記述もまざっているので

人生一般をかんがえるのにも

いくらかは役にたつ(かもしれない)。

この本の核心は以下の2点だ。


「何のために、なんて考えていると、

旅はいつまでたっても始まらない。

意味を考える前に計画をたて、

結論が出る前に出発してしまう。

これが大切である」


「何事も最後までやり抜くよりも、

途中でサボるほうが難しく、

ステージの高い行為だということがわかる。

なぜなら、やり抜くのは惰性であって、

サボるのは決断だからだ」


著者の宮田さんはとくにふかい信心や

重大な動機づけがあったわけではなく、

ただ


・1周してみたい(四国)。

・全部回ってみたい(八十八ヶ所)。

・いっぱい歩きたい。

という理由だけでお遍路にでかけている。


たしかに、

なんだかんだかんがえはじめるときりがなくて、

けっきょく実行できなくなってしまうし、

最後までやりとげようとおもうこころには

すでに余計なものがたくさんくっついてしまっている。

やりたいことをすぐやること、

執着心をもたないことは、

人生を間違ってたのしく生きるための鍵となる

大切な原則である。

(吉田 淳)