活字の力

斉藤恵里氏の「筆談ホステス」という作品をご存知ですか?

実は僕、昨日初めて知りました。この作品が今、話題にな

っていることを・・・。

斉藤さんは聴覚障害者であり、口話によるコミュニケーションは

難しい人です。にもかかわらず、口話が一番の武器となる仕事の

ホステスを職業に選び、さらに、有名店のNo1にのぼりつめる。

信じられないことですが、まさに現実におこっていることです。

なぜ、斉藤さんはNo1のなれたのか?それは、筆談です。活字の

力と文章の美しさが多くのお客さんの心に安らぎと勇気を与えたのでしょう。

能率は悪いし、古臭いコミュニケーション手段にも思えますが、なかなかどうして。

活字の力はあなどれません。


実は僕自身も活字には何度となく助けられた一人。

手紙という形ではありますが、多くの人との離れそうになった心を活字がつなぎ

とめてくれました。


養子に迎えられた元年。義母とのコミュニケーション不足からくるお互いの不安感

を、交換日記が救ってくれました。対面では遠慮や、過度な気遣いにより、本音を

伝えられないもどかしさを、日記による活字の力がその不安を解消してくれました。


結婚して11年。何度か大きな大きな夫婦の危機を迎えたことがあります。

しかし、ここでも踏ん張れたのは、やはり、活字の力。手紙という形式ならば冷静

に本当の気持ちを100%引き出してくれます。おかげで、何度か訪れた夫婦恐慌

を乗り越えることができました。


そして今。僕は子どもに朝のレターを書いています。

内容は簡単です。好きなところ、誉めるところを書きます。

最後に一言、アドバイスと感謝の気持ちを書きます。

どう感じているかはわかりません。よく投げっぱなしにしていますので

読んでいないかもしれません。

よくよく考えたなら、自己満足の僕の儀式なのかな?そう思います。でもいいんです。

それでも僕は十分に満足しているので。

ただ、いつかは一方通行ではなくて、両通行の交換日記の形になればいいなあと思っています。

どんな些細な悩みでも良いので打ち明けてほしいですね。未来永劫のためにも・・・・。

                                      渡 部