『秘密結社 鷹の爪』のレオナルド博士に要注意

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かりてきたDVDで蛙男商会の『秘密結社 鷹の爪』をみる。

チラシやポスターでよくみかける吉田君は

島根県庁から「しまねSuper大使」に任命されているし、

おなじ名字をなのるものとして以前からみたかった作品だ。


おもしろかった。

これまでしらなかったタイプのわらいだ。

お気楽でイージーで(いっしょなことか)、

イメージに忠実な手ぬきが特徴となっている。

たとえば背景にかかれている机や窓の絵は

ものすごくテキトーで、

窓なんて四角くて窓にみえりゃーいいんだろ、

平らな板を足がささえてるのがテーブルでしょ、みたいな

「いわゆる」的なイメージだけでできている世界だ。


総統はいかにも「総統」らしく

ちょびヒゲをはやしてマントをはおっていて、

「吉田君、また玄関をしめるのをわすれたのかね?」

とかちいさなことをいちいち重々しくかたる。

なんで総統なんかやってるのかというと、

「誰もが幸せに生きられる世界を作る為

世界征服を目指すようになった」

からなのだそうだ。


主要な登場人物のひとり、

博士の名はレオナルドで、

きっとレオナルドといえば熊、

というストレートな発想からだろう

(わかいひとはしらないだろうけど)、

つぶらな瞳のかわいらしい熊がえがかれている。

でも性格はかわいらしくも博士でもなく、

ビートたけしをもっとはやくちにしたしゃべりかたで

「なにいってんだよオラ、はやくはいるんだオラ」

と相手のいってることを全然きかなで

自己のやりたいことをどんどんとおしてしまう。

「シャープペンとボールペンを合体させて便利便利だ便利便利」

とただいきおいだけでしゃべりまくる博士。

意味もなくプライドがたかくて

どうみても熊なのに、

「くま」といわれただけで相手にかみついてしまうので要注意な人物だ。


正義の見方「デラックス・ファイター」は

やたらと必殺技の「デラックスボンバー」をくりだしてくる。

総統がなんとかなだめようとしても問答無用で、

はじめから必殺技をしかけてくるのがすごく新鮮だ。

その攻撃をうけて鷹の爪団はアジトを壊滅させられてしまった

(そういえば、いままでのヒーローは、

なんで散々たたかったあげくに

必殺技をおみまいしているのだろう)。


こうしたキャラクターがすごいペースでふざけちらすので、

わらいこけながらも、自分の感覚をためされてる気がして

なかなか油断できない。

まじめさとあそびを、

どう自分のなかで処理していくかをとわれる新感覚の作品だ。


蛙男商会はこの作品をアドビのソフト「FLASH」でつくっていて、

この仕事を島根県にいながらつづけているのが

「しまねSuper大使」たるゆえんとなっている。

ちなみに、多様な登場人物のふきかえはずべて

蛙男商会氏ひとりでやっているのだそうだ。


MacPeople誌でのインタビューを紹介すると、

(問い)声の録音は島根でどうやったんですか?

ーーー(前略)島根には専用の録音施設なんてないんで、

ビデオ本体のノズルがのってしまって大変でしたね。

それ以前にセミの声やら農家の農薬をまく音とか

全部はいっちゃうんですよ。

夜はコオロギがうるさいし、

ノイズを取り除く整音作業はしんどかったです。


という、いかにも「島根」ならではの事情がかたられている。

まつもとさんの「Ruby」といい

この「秘密結社鷹の爪」といい、

島根から世界に通用する作品を発信しておられるのは

率直にすごくうれしい。


自分さがしなんてはずかしいことしているヒマがあったら

(自分研究でしたっけ?)

レオナルド博士のキョーレツな「オラオラ攻撃」を

ぜひ体験してほしいと切におもう。

(吉田君)