伝説のバイト生

先日、たまたま友人と飲み歩いている時、バイトでお世話になったピザ店の元店長夫妻に出会ったのです。合流することになり、とあるスナックにピットイン。すると僕のバイト時代に話がさかのぼりまして、大いに盛り上がったのです。


元店長夫婦の話ですと、僕が考えられないような失敗を連発してやらかしたので、15年たった今でも伝説のバイト生として忘れられない存在だったそうです。それを聞いた僕は、はずかしいという想いよりもうれしくてうれしくてしょうがありませんでした。なぜなら、その店長夫妻のことを心より尊敬していたので、そんな方からバイトを卒業して15年以上が経過するというのに、まだ覚えていただいたのですから・・・。


元店長夫妻は、現在は株式会社を立ち上げ、焼肉店と居酒屋を経営しているということ。なんと雇ったバイト生の数は1000人を越えるそうです。にもかかわらず、僕は「忘れたくても忘れられない伝説のバイト生ベスト3」に入っていたので、びっくり仰天。正直、店長に選ばれて本当にうれしかったのです。

「山崎は、(旧姓は山崎なのです。)本当にすごかったなあ~。なんせ、普通の失敗ではなく、考えられないような失敗を大真面目にしていたからな。例えば○○とか、◎◎とかなあ。あ、●●もしたよなあ~。うん、うん。」と感慨深そうにうなずく店長と奥さん。


例えばこんなことがありました。

注文先の家に到着。バイクのふたを開けると・・・。「あ、ない!あれ~。ピザがない!」と慌てふためく山崎健史。落ち着いて振り返るものの、絶対、ピザはかごに入れたし、ロックしたことも確信したのです。店長に電話をし、そこで言い放った一言。「店長~。信じて僕の言うことを聞いてください。ピザが、ピザが消えたのです。不思議なことですが本当に消えたんです!どうしましょう?」と。店長はとっさに(やさしい口調で)「やまさき~。落ち着け~。落ち着け~。・・・・・あ!お前、確か、店を出る直前にバイクを変えていかなかったか~。おう、それだー。バイクだー。」

そうなのです。実はピザは店に置いてきた別のバイクの中にあったのです。エンジンがかからなかったのでバイクを変えた僕。ただ、ピザをそのままにしてきたのです。

帰ってきたらみんなに大笑いされました。

まだ、まだあります。

電話を取る時の失敗。本来なら「はい!シカゴピザ・松江店です。」というべきところを、

ごく普通に「はい、山崎です。」と答え、びっくりしたお客さんが電話をきるという事件もおこしています。しかし、これで終わらないのが渡部健史。店長にやさしくアドバイスを受けた直後の電話では、「はい!松江ピザ・シカゴ店です。」と連発で間違えてしまい、お客様が受話器の向こう側で「あ、あ、エ~~!。」とびっくり仰天。さすがの店長も「バカヤロ~。それだとお客さんが混乱するだろ~」と怒ってしまいました。

それも1回で終わらず、何度も何度も同じ過ちをおこしてしまった私。よくもこんな男を最後まで使ってくれました。

他にもその日の最後の注文ピザを、店長から再三「山崎。もうオーブンを切るからな。絶対、落としたりするなよ~。もう、代わりは作れないからな。」と念をおされたにもかかわらず、期待通りに階段を踏み外しピザを落としてしまった事件や、クリスマスの日、サンタの衣装でとある家にピザを配達し、年配の女性から「あいちゃ~ん。サンタさんですよ~。おいで~。」と声をかけるので、お孫さんかと思い、おもいっきり、赤ちゃん言葉で「サンタさんでちゅよ~。あいちゃ~~ん。」と声をかけたら、出てきた女の子は30過ぎの女性だった事件と(後に苦情あり)、数えたらきりがないほどです。


あまりの失敗に自責の念にとらわれた僕は、自分から「店長~。やめさせてください。もう、これ以上はみんなにご迷惑をおかけできません。」と泣きながら訴えると、はにかみながら「やまさき~。気にするな~。お前にはいてもらわんといけん。心配するな。俺に任せろ。これからもよろしくな。」と言ってくださったのです。なんとありがたきお言葉。

高麗夫妻、ありがとう。


そして、20年後の私はというと・・・。今も期待通りのおっちょこちょいをやらかしています。

バーベキュー大会では、責任者にもかかわらず、当日は必ずといっていいほど失敗をしてしまいます。戦力どころか、足を引っ張っているような、そんな気がするのです。でも、こだまの職員は高麗夫妻同様、やさしいのです。僕の為に、僕が自信を持ってできる仕事を準備してくれるのです。それもさりげなく・・・。


本当に、僕は恵まれています。みんなに感謝しなければいけませんね。

今度は自分の番です。みんなが幸せな気持ちで仕事ができるような環境作りを、いつも考え、そして提供していきたいと思います。

                                  渡部