方丈記・・・

 中学校の日本史の時間に、奈良時代鴨長明方丈記と言うのを習った。そのときの授業の様子も、

自分が何を思ったかも40年近く経った今でも良く覚えている。

 「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、

かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。」

 この夏、実家が集中豪雨の被害を少し受けた。直ぐに帰ろーか、と母に聞くと、

何もできないからいいよ、と言う。そのあと姉達夫婦が片づけをしてくれた。

秋になって帰ってみると、家の前の川の護岸は崩れ、あとわずかで刈り取りができる田んぼは

3分の2以上を砂や石が覆い尽くしていた。

 子供の頃には、自分が育ったところが一番いいところ。また帰る、と思っていたのに、

こんな惨状を見るとこれからどうして行くんだろう、と思ってしまう。

集落崩壊と言う言葉も聞かれるようになったが、実家のある地区がまさにそんな状態にある。

 むかし田植えの手伝いに行っていた田んぼが茅に覆われ、むかし友達と遊んだ家には

年老いたおじさんやおばさんしかいなくなっている。空き家もあるようになった。

 父や兄が汗水流して、耕していた田や畑が荒れていく。でも、どうしようもできない・・・。

                         老後を考える山田