旗本無責任男 参上

 先日、松江駅構内で若い男がゴミを床下に投げ捨てた瞬間を僕は目撃した。「あ、このやろ~。ちゃんとごみ箱に

捨てろー。」と叫んだ僕。いや口に出してではなくて心で叫んだのだった。もちろん、本人には聞こえない。隣に

彼女らしき女性もいたが、ゴミの件は気にせずニヤニヤと話し込んでいた。

 なぜ、自分は毅然とした態度で注意できなかったのだろう。本当に自分自身に腹が立った。このような場面、自分なら必ず見て見ぬふりをせず、理不尽な野郎どもに喝をいれる男だと信じていたのに・・・。情けない限りである。恐怖心があったわけでもないのに・・。ただ面倒くさかっただけなのだろうか?

 とにかく、その時から自分の頭の中は「どうして言わなかったんだ。どうして?」を呪文のように唱え続けていた。

一緒に歩いていた利用者はさぞ迷惑だったろう。職員としても失格だ。

 本当の勇気ある者なら、利用者の安全も考えて、何も言わずに非常識カップルの前で悠然とゴミを拾うのだと思う。

正義のヒーローぶるのはアウト。自己満足の世界に浸ってるだけで、へたをすればまわりの人たちも巻き込んでしま

う恐れがあるからだ。

 僕は自己満足タイプ。でも今回はそれ以下の見て見ぬふり人間だった。

 自分は無責任男にだけはなりたくない。誰に何を言われようとも、何をされようとも「これはおかしい。」と思った

ことには全力で立ちはだかっていきたいし、正しい方向に進んで行きたい。でも度々妥協をしている弱い自分がいる。

そういえば最近、妥協する場面が多くなった。その積み重ねが、今回の無責任行動に結びついたのかもしれない。

 でも今回の件は自分にとってとても良い機会となった。勘違いがわかっただけでも儲け物。精神鍛練をして無責任

病を追い出してやる。気合いだ~。気合いだ~。

                                         アニマル渡部