春風

今日は移動支援。気温は27度。半袖の人も多くみられた。

さわやかに晴れているものの春風がとても強い一日だった。


午後のヘルプで付き添いをした利用者は

駅につくとコンビニに直行した。

あらかじめ調べていた電車やバスに乗ろうと誘うが

そうではないといわんばかりに必死にこちらの動きをとめ、

コンビニの方向へ引っ張った。

彼の意思を尊重しコンビニに向かうことにした。

お気に入りのおやつをレジまでもっていくとニコニコしはじめる

レジ袋を手にかけるとさらにニコニコしはじめる

その時ようやくわかった気がする。

おやつを買った今。

お出かけをスタートさせる気持ちでいるのだと思った。



そこからは、こちらに身を委ねるように

周辺の散策をすることになった。

バスにのってちょっと離れたところへお出かけするのもいいが、

彼の望むことはなんだろう?そう考えながら共に歩いた



歩く彼をみていると

春風をあびるとなんだか気持ち良さそうだった。

そうだ、彼は歩きながら、風を感じるのがとても好きだったと思い出した。

高架下を歩いていると、タイヤがビニール袋でつつまれ

風でおおきくたなびき、ばたばたと音を立てていた

なるたびに彼はふりむき、気にしている。


街中を歩くといろんな音がしている。

すべてに反応する訳ではないが

気になった音があると、表情に変化がある。

彼なりに散歩を楽しんでいることがよくわかった。


最後は、移動支援ではめったにいくことがなかった

美術館付近まで足を伸ばした。

湖岸に面した、石のベンチで休むと

また風を浴びながらうれしそうな顔をしていた。

日光も風の音もつよいが、木陰なので

なんだか気持ちよくすごせる。


おでかけ、余暇を移動支援として同行するとなると

とかく形になるようなことを何かしなければ、

という気持ちになってしまう私がいる。

しかし、こうやって自然に身をゆだねてすごすのも

彼なりの、すてきな余暇の過ごし方なのかもしれない

と感じた。

日常的にサービスを利用していると

彼らが何を望んでいるのか見落とすことも多い。

あらためて、見直すべきこともある。そう感じた。

川上